新理事長挨拶 (平成26年9月)

福島 亮治

 帝京大学医学部外科学講座 教授


 このたび平成26年度第1回理事会で、眞田裕先生の後任として理事長に選任いただきました。本学会は、1965年(昭和40年)に前身である「術後代謝研究会」が「外科手術前後における患者の代謝・栄養管理の研究成果を自由に討論する」事を目的として第1回が開催されたことに始まり、昭和56年の第18回学術集会より『日本外科代謝栄養学会』に移行しています。創設以来、程なく50年になろうとする歴史と伝統のある本学会の理事長を務めさせていただくことの、その責任の重さをあらためて痛感している次第です。
 本学会は、侵襲に対する生体反応や栄養代謝を主な研究対象とし、様々な課題を基礎から臨床にいたるまで、深く掘り下げて研究をするきわめてScientificな学会であります。学術集会ではかねてより白熱した討議が行われ、特に深い議論ができる学会としてこの分野で重要な役割を果たして参りました。しかし、最近はこのようなScienceに携わる会員数が徐々に少なくなってきているのが現状で、今後いかにこの分野の研究を活性化させていくか、特に若手にとって魅力あるものにするかが大きな課題となっています。
 現在の外科系の学会では、鏡視下手術のビデオセッションのように、技術に関する話題の人気が高く、多くの聴衆をあつめているように見受けられます。外科医にとって手術手技、技術の習得は非常に重要なことですが、これだけでは外科学の、そして医学の進歩は望めません。医師、医療者はつねにScienceを追究する目を養わなければならないと思います。本学会はこのScienceを追究することの重要性を、特に若手の医師に積極的に発信して行く役割を担ってゆく必要があります。
 この分野の研究を盛り上げて行く一つの方策として、現存する志を同じくする学会・研究会で連携をはかり、幅広い分野の人たちに興味をもってもらえる環境を整えることがあると思います。現在いくつかの代謝栄養や外科侵襲学に関する研究発表を行う学会、研究会が活動しておりますが、このような会と連携して、DDWならぬ代謝栄養週間を創設するような構想です。これは以前から私の頭の片隅にあったことですが、このたび第1回の理事会の席で宇佐美眞監事からも御提案をいただきましたので、実現に向けて他学会に働きかけていくつもりです。それぞれの学会の歴史的経緯などもあり、簡単なことではないかもしれませんが、徐々にこのような構想が実現できればと考えています。
 また、前眞田理事長が尽力された教育の面でもさらに発展させるべく努力をしてゆく所存です。これまで検討されてきた本学会の認定制度は、外科侵襲や代謝栄養学、すなわち外科総論分野に関する教育ができる人材を認定するもので、いよいよ実行に移される段階にあります。認定の条件は他の学会の認定医や専門医と比較して、かなり厳しく設定される予定ですが、幅広い知識と経験を持った本学会の認定医が、次世代の人材を育てる教育に携わっていただければと思います。
 今後も伝統を守り、学会をさらに発展させていくために、会員の皆様のご支援・ご協力と積極的な学会活動への参加を、心からお願い申し上げます。






  本学会の歴史

1965年 外科手術前後における患者の代謝・栄養管理の研究成果を自由に討論することを目的に、 20施設(17大学と3病院)が参加して「術後代謝研究会」を設立した。
1981年 急速な会員増、発表演題内容の充実にともない、第18回学術集会より「日本外科代謝栄養学会(Japanese Society for Surgical Metabolism and Nutrition)」と改称した。個人会員制の学会に改組し、会則の整備をおこなった。機関誌も、プロシーディングス・スタイルの「術後代謝研究会誌」を原著論文中心の「外科と代謝・栄養」とした。
1983年 会則を改正し、1) 選挙による役員の選任と任期制を導入、2) 評議員の選考基準および評議員会の役割を付加した。
1984年 学会主要会員の協力を得て、田中 大平・近藤 芳夫 編集「外科代謝栄養学」(文光堂)を発刊した。
1988年 機関誌掲載の優秀論文に学会賞を授与することとなった。
1990年 学会25周年記念号を発刊した。
1993年 機関誌を隔月発刊とした。
1994年 本学術集会にInternational Sessionを設けた。
2000年 TPNビタミン検討委員会(岡田正委員長)が、ビタミンB1欠乏症の多施設臨床研究結果を報告した。
2001年 アジアの若手研究者を対象としたTravel Grant for Young Investigator制度を創設した。
2003年 学会賞に英文原著も対象となった。
2006年 第43回学術集会より、日本静脈経腸栄養学会との共催で、「NST医師教育セミナー」を開催した。
2009年 第46回学術集会より、日本アミノ酸学会との合同シンポジウム、およびJPEN推薦論文の募集を開始した。
2010年 学会主催の教育セミナーが開催された(第1回セミナー担当:千葉大学、織田成人先生)。